1 山中優衣(やまなかゆい)は応接室のソファに座っていた。 机を挟んで向かいにいるのは、厚底メガネをかけて、胸元で髪を密編みにしているセーラー服の女の子。 まるで彼女のまわりだけ昭和だ。 そして、隣には昨日から寝てないのか、今にも眠ってしまいそうな顔の森田当麻(もりたとうま)がいる。 顔は整っているが、服装は灰色のパーカーにジーンズと学生のように思う。 当麻は「さっさと聞け」と言わんばかりに大あくびした。