「おはよう。隼人。」

「おはようございます。院長さん。」

「誕生日、おめでとう。」

「…ありがとうございます。」



引き戸が勢いよく開けられ、紅葉を除く患者が全員駆け寄ってきた。

「お誕生日おめでとう!隼人兄さん!」

「ありがと。みんな!」



今日で、俺も19歳か。

とうとうきてしまった、きっとこの1年は俺にとって絶望的な1年になることだろう。

宣言できるくらいだ。



あぁ、神サマはなんて残酷なんだろう。

「どうかしたの?兄さん?」

「いや、なんでもないよ。ちょっと、紅葉のとこ行ってくるね。」

「わかった…」

「院長さんも、そろそろ学校行った方が良いですよ?」

「それもそうだな。じゃあ行ってくるよ」

「いってらっしゃーい!匠さん!」




硬くて白いドアをノックする。

「どうぞ、」

いつもの澄んだ声

それを合図に俺はドアを開けた。

「お誕生日おめでとう。」

「ありがとう。」

「とうとうね。」

「そうだな。」

「覚悟は?」

「してた。」

「期待は?」

「…してない。」

「そう。」