「ミスったなあ」



私がまどかのいるところへとたどり着いたちょうどその時、チャイムがなった。
まどかは校舎を見ながら「桃ちゃんごめん、誤算だった」と言う。



何のこと?と私も校舎を覗きこむと、まどかの言わんとしてることがよく分かった。


「この木は校舎の廊下側に面しているから、授業さぼるのに最適だったんだけど、そうか、授業参観か」



私たちのすぐ目の前には、廊下に溢れるたくさん保護者達。
幸いまだ私たちには気付いていない。



「いいよ、スリルがある」


私はそう言って笑った。
「おっ桃ちゃんらしからぬ言葉だね」とまどかも笑った。