――次の日

 空はすこぶる晴れだった。
 俺は、家具を引越し屋に預け、必要最低限の荷物を持つと家を出た。

 バスで駅まで向かい、駅から何度も電車を乗り換えて兵庫に着く。

 駅は無人で、誰も居ない。

 ふと、俺はため息を打つ。

 なぜなら外は、すこぶる雨だった。
 大阪は、すこぶる晴れだった為、傘など持っては居なかった。
 慣れない土地での激しい雨

「はぁ……
 最悪だなぁ……
 俺ってどうして、こんなにツイていないのだろう」

 駅を見渡しては見たものの、近くにコンビニなんて存在しない。
 駅も無人なので売店なんて存在しない。

 俺は、ため息をつきながら改札口を出た。

 あはは、このなんだろう、この感覚
 あの時の感覚に似ているな。

 するとあの時のタイミングで、俺の耳の中に聞き覚えのある声が聞こえた。

「よろしければ、途中まで入っていかれますか?」

 懐かしいあの香と共に……
 俺は、ゆっくりと振り向きその女性の姿を確認した。

「橘さん…?」

 そこには、苦笑いを浮かべた橘さんが立っていた。