ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー


目覚めた時には、すでに城の中にいた。
すぐに王への説明の場を設けられ、私は王間へ来ている。


もちろん、レインも一緒だ。


目の前にいるのは、王とスヴェン。
そして大臣のヘルダルフだった。



「私が、スイラン…王子を連去りました」


レインは、私を庇うように自分が拐ったという。
レイン……私はそんな事されても嬉しくない。


「弁解もせんのか……スイラン、それは本当の事か?」


父様の問いに、私は首を横に振った。



「いいえ、これは私の弱さ故に犯した罪です」

「スイラン!!」



静止しようとするレインに私は笑いかける。



「レイン、これは私達で選んだ道でしょう?共に、同じモノを背負って、分けあって生きていく…」

「スイラン………あぁ、悪かった」


レインも同意するように頷く。
そして笑みを浮かべた。


「私は、私の意志でここを出ていったんです。この想いを捨てきれなかったから………」


「……では、何故戻ってきた」


「………私は、何かを捨てる事なく大切な人の未来を守りたい。そして何より、私が幸せになる為にここへ戻ってきました」


私に、自由に生きろと言ってくれた人がいたから………



レインを見ると、レインは背中を押すように頷く。



「今回の事、後悔はありません。これがあったから、私は迷いを振り払う事ができたんです」

「迷いとは?」

「この国の、いいえ。この世界をどう変えていかなくてはならないのかをずっと迷っていました」



そう、この争いばかりの世界を変える為に、どうしていかなくちゃいけないのか……


「ヴァンパイアの脅威は、隣国ガハラテルナまで及んでいます。そこで、私達は荒れ果てた村、精気の無い人達…絶望の一部を目にしたんです」


そう、それはこのままいけば、世界の全てで起こる絶望の一欠片。