サァアアアアア………


雨の降る人通りのない裏路地。
1人の男性がその裏路地を走り回っていた…







ーーー…めろ………!!







カツカツ…カツカツ







ーーー…やめてくれ……!!






フォン…フォン…








行き止まりにさしかかる。


男性は追いかけてくる“2人”に向き合った。






ーーーお…俺がお前に何したってんだ…!!






男性の問いに、目を細めた男が答える。




「何したって…ねぇ…?」





目を細めた男は、もう1人の男に声かけるように言うと、真一文字に結んだ口をゆっくり開いた。


「俺の……靴…………

…兄貴に買って、もらった…靴










…ふまれた……」




スッ




ブシャアアァアァアアァアァアア



ーーーあ…あ…あ"あ"あ"あ"……!!










「ごめんねぇ〜…今日の昼に予定してたお気に入りの定食屋が定休日って知らなかったんだ〜。
だから不機嫌でさぁ〜
ま、運が悪かったってことで。ね」
















後日…
路地裏で男性の死体が発見された…

原因は首からの出血多量によるものだった。


被害者は普通に生活していた会社員で、あったが、周りからかなりの恨みを買うようなことをしていたため、怨恨による殺人の可能性もあるとされた。



しかし、怨恨の殺人にしては二つの不可解な点が残った。

一つ目は、首からの出血でありながら傷跡がないこと。
正確に言うと、傷跡がよく見ないとわからないようになっていたのだ。
監察医曰く、このような傷は珍しいという。

二つ目は…これが最も不可解だが、
遺体が綺麗に寝かされていたことだ。

目をつぶらせ、手を合わせて胸の上に置いて寝かせていた。髪もとかし、爪も切って、さらには化粧までしてある。

まるでその場が棺桶であるかのように。










こういった殺人事件は実は初めてではない。様々な場所で発見されている。

また、それと比例するかのように、行方不明になる者も増えているという…