そうこうしているうちに、香坂と水無瀬も屋上にやって来た。


「愛ちゃん、よかったー!!」


 香坂は篠塚に飛びついて無事を喜び、水無瀬は真っ直ぐに俺に向かってくる。

 香坂みたいに抱き着いてきたらどうしようかと一瞬身構えたが、むしろ青山みたいに頭を下げてきた。


「変なこと言って申し訳ないッス!」

「お、おう」


 そんな勢い込んで謝られても、俺には変なことを言われた覚えがない。

 だが謝罪を受け入れると、水無瀬はそれで満足したようでさっさと俺に背を向けた。

 な、なんだったんだろう……


「篠塚、瑞穂のこと好きになったらダメだかんな!」


 人にちょっかい出す水無瀬。


「またお前はそういうことを言う……」


 それを注意する青山。


「愛ちゃん〜」


 本気で友達を心配する香坂。


「心配かけてごめんね」


 眉をハの字に寄せる篠塚。

 いつもと変わらない光景に温かな気持ちが胸に広がり、瞬時に冷えた。


「おまえら、授業サボってなにやってんだぁぁぁ!!」


 怒号とともに屋上の扉が勢いよく開かれ、仁王立ちする水谷先生が現れる。


「さっさと教室もどれ〜!!」

「ごめんなさいー!!」


 俺たち五人は、教室に強制送還される。