「沖田さん?」


彼の部屋の前で声をかける

けれど返事はない

おかしいな…部屋にいるはずなのに



その時だった



「僕になんの用?」


振り返ると沖田さんがいた

彼の部屋の前には中庭があってそのには大きな桜の木が立っている


その桜の下に彼はいた

月明かりが桜を照らしていた

夜桜…まるで沖田さんみたいだ



「夕食お持ちしました」


部屋の前に夕食を置くと

彼はそれをちらっと横目で見て

ぼそっと呟いた



「いらないよ」

「で、でも食べないと体が…」


"もたないですよ"

そう言おうとしたのに

彼は私の言葉なんて聞かなかった

いや、聞きたくなかったみたいだ



「僕がいらないって言ってるんだから何回も言わせないでよ!」