柚葉side


次の日


「柚ー!おはよー」


「おはよー」


転校2日目にして、私の噂は学校全体に広がったらしい。


噂って怖いね。


「あの子が新藤 柚葉!?
ちょー美人じゃん!」

「うちら勝てっこないよ!」

「納得かも!」


通りすがりに先輩らしき人が話していた会話。


私を初めて見た人は全員この会話をしている。


ほんと、何様なんだろうね。


猫被るのも面倒くさい。

たまに放棄したくなる。


それでも猫被りを辞めないのにだって、私なりの理由がある。


だから辞められない。


ってか、そもそも学校に行かなければ猫被んなくて済む。


だけど、お兄ちゃんと玲央が2ヶ月掛けて必死に
「学校に行ってくれ!」
なんて頼むから、仕方なく。


猫被らなくちゃいけないから、学校なんて行きたくなかったのに。


それでも私は、いつも笑顔で完璧なみんなの新藤 柚葉を演じる。


「柚おはよー!」

「今日も美人だねー。」


美人じゃないけど、1日で顔変わったら怖くない?


「おはよー。」

「そんなことないよ。」


内心どうでも良いけど、分け隔てなく笑顔で対応。


なんで何もしてないのに勝手に人が集まって来るんだろう?

小学校からの疑問。


私から話しかけた訳じゃないのに、勝手にわんさか人が集まって来る。


放っておいて欲しい。