「藤崎さん、存在が邪魔。今は顔も見たくない」
そういって鋭く私に向けられた視線と、声。
その声に怯み、体が言うことを利かない。いつものことなのに、私が悪いのに。
いつだって、
私は、深梨(みなし)君の憎むべき“対象”で、邪魔な存在。
「...ごめ...ん、なさい」
「謝る時間があるなら、さっさと視界から消えろよ...っ」
早くこの場から出なきゃいけない。
そうわかっているのに、体は動かないままで。
「藤崎さん、行こう?」
優しく声をかけてくれたのは、深梨君ではなくて、深梨君の親友の田中君。
「...あ、ありがとう」
お礼を言って立ち去ろうとするけれど、やはり体が動かない。力が入らない。
お願いだから、動いてよ。