学校を出てしばらく慎重に進み、人気のない路地裏に入ると、地面に足を投げ出し休憩をとった。


みんな汗だくで、民家のブロック塀に寄りかかったり、純也なんかは道路に大の字で寝転がっていた。


まだ、学校を出られただけですごく疲れた。


だけど、誰一人として沈んだ顔はしていなかった。


「脱出成功ね」


早々に息を整えた紫音先輩が、口を開と、


「ハハッ。なんとかなるもんだな」


純也が荒く息を吐きながらも達成感からか、嬉しそうに答えている。


私はやっと呼吸が整って、隣にいる澪に声をかけた。


「大丈夫?」


「い~たぁい~」


顔をしかめてはいるけど、受け答えはいつもの澪だ。
あんなに派手に転んだけど重傷ではなくてよかった。


ただ、露出した部分、特に肘や膝に大きな擦り傷があって、地味に痛そうだった。
武志が甲斐甲斐しく膝をハンカチで拭いてあげている。


「あおい~」


「ん?」


「助けてくれてありがとう。澪……死んじゃうかと思った」


澪はクリクリの瞳をうるうるさせている。


かわいくて思わずぎゅって抱きしめてしまった。


武志が彼氏の鑑(かがみ)なら澪は私にとって癒しの鑑だ。


「あおい~……、ぐるじいよ~」


「あっ、ごめん」


思わず力が入ってしまった。


そんな私達を見て、澪の横にいた小百合が「フフッ」っと目尻を下げていた。