ヒンヤリとした感触が頬に触れる。


目を覚ました時、私は固い床の上に寝そべっていた。


ふと、見上げると、


「あおいっ!」


ハンカチを手にした澪の姿がすぐそばにあった。


上半身を起こすと、そこには純也と武志、そして小百合もいる。



「ここは……?」


「体育館だよ」


「あおいは気絶してたんだ。三十分くらいかな」


キゼツ……?


言われてみれば記憶が曖昧だ。





確か、純也に助けてもらって、非常階段を下りて、その後……。


「っ! ──こうき! 幸希はっ!?」


思いだした! ガラス扉が吹き飛んで、幸希がその下敷きになって──。







うそ……だよね……。


みんな俯いてしまい、黙り込んでしまった。
それは、暗に最悪の答えを物語っていた。


助けられなかった。




…………。




幸希は死んだのだ……。





無音の体育館はやけに広く感じて、言い知れない虚無感(きょむかん)が
辺りを蝕(むしば)んでいった。