「おまえ、俺のこと嫌いだろ?」



営業終わり、一人厨房で生クリームを作る練習をしていた私に、この店のパティシエでオーナーである向井さんは言ってくる。

この店の店長である向井さん。
向井さんに指導され、厳しくてこの世界を辞めてしまう人もいると聞く。


怒るととてつもなく恐いのだ。
泣く子も黙るか、もっと泣いてしまうか‥‥‥



図星を突かれ、私は何も言えなくなるも、それじゃだめだと思い、必死に口元の口角を上げた。


「そんなことないですよ?嫌いだとしたら、ここにいません。」


そんな、表情が怖ばっている私を見抜いてか、向井さんは「ふーん」と私をみる目が恐い。


私は、パティシエの簡単に言うと見習いの身。今日も自分のケーキがお店に出ることはなかった。


だから、今日も私は練習するしかない。美味しいってたくさんの人に言ってほしいから。


向井さんのことは、嫌いではない‥‥‥苦手なだけ。