「はぁ……」



屋上の地べたに寝転ぶと、俺はため息をついた。



『あの、私は……っ』



美憂はあのとき、なにを言おうとしたんだろう。
でも俺は臆病だから聞きたくなくて、美憂を突き放した。


いつかは美憂と別れなきゃいけない日が来るってわかってた。
美憂が何度も真実を言おうとしてきてたのにも気づいてたけど、その度に言わせなかった。
少しでも長く美憂のそばにいたくて。


いつから美憂のことを好きになっていたんだろう。
最初は、ほんの好奇心だったのに。


俺が最初に美憂を知ったのは、1年生のときだった。


休み時間、屋上に寝ていたときのことだった。
男子生徒2人組が俺には気付かず、入ってきた。



「あ~もうマジでやばいよな、美憂ちゃん」


「なにあの可愛さ。その辺の女子と比べものになんないよな」


「あの笑顔はズルいわ。あぁ、彼女にしてぇ」



あぁ、うるさい。
人が昼寝しようとしてんのに……。
つか、その辺の女子とは比べものになんないほど可愛いヤツって、そんなヤツいるワケないでしょ。
可愛い顔してる女子なんて何人でもいる。
マンガの世界じゃあるまいし。