「立花君、まだ入院してるんだね」


「うん…」


あの試合から一週間。


海司はまだ意識を失ったままだった。


「海司のお母さんの話だと、今日から面会してもいいらしいの。

だから私、部活が終わったら会いに行ってみるつもりよ」


「そっか…。早く目を覚ますといいね」


そう言って優しく微笑む唯に、私も目を細めて笑った。




部活が終わると、私は海司が入院している病院へ向かった。


ちなみに恵介君は、今日は塾があるとかで一緒に来られなかった。


コンコンとドアをノックすると、私は海司がいる病室に足を踏み入れた。


「こんばんはー」


「あ、花音ちゃん。お見舞いに来てくれたのね」


おばさんに海司の様子はどうですか?と聞くまでもなく、海司はまだ瞼をしっかりと下ろしていた。


私は近くにあった椅子に腰を下ろして、眠っている海司を見つめた。


私の目の前に横たわる海司は、それはそれは綺麗な顔をしていて。


寝顔まで完璧だなんて、隙のない海司らしいなと思った。