「はーい、拓也くん。ちょっとだけちくってするよお~?」



優しそうなお医者さんが



僕に向けて、注射を打った。



痛くない。痛くない。



そう呪文を心の中で何度もいう。



「いたっ…」



そう思ってても僕にとっては痛いんだ。



木下拓也 3歳



僕は、1歳頃から、



ここ─中央大学病院の



太陽小児科にお世話になっていた。



「おっ…!!!泣かなかったね~。偉い偉い」



看護師さんが僕の頭を撫でてくれる。




ニタ~と嬉しくて笑い、




僕は、








「ありがとう!!!中村せんせ!!!」

そう言って、病室を出た。