またまたいつもの如く残業中。

人の噂も、時間と共に風化していくものであり。
気にしなければ気にならない。

学生の頃ならいざ知らず、そうそう噂話で盛り上がってばかりじゃいられない。

毎日が仕事だし、そもそも仕事しにきているのだし。

いつもと変わらず、今まで通りに……。



「山根さん。忙しそうな所で申し訳ありませんが、これも清書お願いできませんか?」



差し出された書類と、差し出してきた本人を見比べた。


目の前に倉坂さん。

背後には、いつもの残業中メンツ。

初めてお願いされているらしい、企画の書類。


思わず首を傾げた。


今まで通り……?


ま、まぁ、仕事だしね。

うん。
仕事だし。


「何時までに必要ですか?」

「……ああ、今日中であれば。さすがに少々手が回らなく……」

「解りました。清書出来たらプリントアウトはしますか?」

「出来れば10部。レジュメを作成お願いしたいです」

「解りました。出来たらお持ちします」

「お願いします」

受け取って、枚数をパパッと確認。

営業の書類を作成してからプリントアウトして、それからならデスクでレジュメ作れるかな。

考えていると、何故か佇んでいる倉坂さんに気がついた。

……相変わらず、無表情で解らない人だなぁ。


「……ありがとうございます」


そう言って、スタスタと自分のデスクに戻って行った。