――僕が知っている浩輔はただ優しすぎる男だった
お人好しで鈍感な小さい頃からの幼なじみ
親同士が仲良しだからはそれがきっかけかもしれない
どこ行くにも一緒で時々羽目を外し、ガラの悪い奴らに絡まれた
喧嘩なんてできなくてボロボロにされるまで殴られてたっけ?
だけどそれは雛菊に入る前の話
僕達を入れてくれたのは先々代の総長
キツいトレーニングを必死になって耐えてに僕も浩輔も強くなり、幹部になった
抗争の度に背中を任せられるのは浩輔だけだった
浩輔だけなんだ……
最近浩輔は、僕を大河、翔太を避けている気がする
実際はその通りで理由は分からない
不思議でならなかった
いつもは何でも話してくれるのに今回ばかりはしてくれないから
だから、久し振りに顔を出したと思ったら「俺、雛菊抜ける」と、言って訳が分からなくなった