「・・先生・・お兄ちゃん先生、起きて!!」

「んっ?実緒どうしたの?」

すると、体をモジモジさせながら・・・。

「おトイレに行く」と言ってベッドから降りようとした。

でも、歩けず床にペタンと座り込んでしまった。

俺は、慌てて起き上がり実緒を抱いてトイレへと連れて行った。

今までどうしてたんだ?・・・。

そうか、ICUにいたからずっと導尿していたんだ。

「ねー。お兄ちゃん先生・・・。みおはどうして歩けないの?」

「前は、ちゃんと一人で行けたのに・・・。」

俺は、抱っこしてベッドに戻りながら

「実緒は、長い間ベッドで寝ていただろう。だから、力がなくなって歩けなかったんだよ」

「じゃあ。どうしたら歩けるようになるの?」

「んー。たくさん食べて元気になったらかな。」

そして、ベッドに座らせた。

「実緒ちゃんおはよー。朝ごはんだよ。先生と一緒にどうぞ」

「おはよー。えっと・・・。」

「やまもと・ちなつ です。ちなつちゃんって呼んでね。」

と言うとナースステーションへ戻っていった。

今朝のメニューは・・。ご飯と味噌汁、ノリと鮭だった。

実緒は同じものを、離乳食のようにした感じだった。

「じゃあ、食べようか。」

二人でいただきますをする。

でも、一口食べただけで手が止まる。

俺は、実緒に少し待っているように言うと自分の分を急いで平らげた。

そして、実緒を膝の上に乗せると、背中をさすりながら少しずつ食べさせた。

「ごちそうさまでした。」

なんとか半分ぐらい食べてくれた。