１２月。


もうすぐ冬休みを迎える。


周りは、冬休みの予定をどう過ごすかっていう話題で盛り上がる。


「環菜、あれ見て見ぬフリしててもいいの？」


親友の瑞穂が“あれ”と指差す方向に、チラッと一度だけ目を向ける。


「いつものことだし、気にしてないよ」


「またそんなこと言って。アイツの彼女はあんたなんだから、もっと文句言ってもいいんだよ？」


瑞穂が言ったアイツとは、付き合ってもうすぐ１年になるあたしの彼氏のこと。


高校に入学してから凄い人気で、いつも周りに女の子がいた。


俺様で遊び人で、あたしとは住む世界が違う人だって思ってたのに。


同じクラスで席も隣同士。


だからなのか、何かとあたしにちょっかいかけてきて、最初はこんなヤツと関わりたくないって思ってたのに。


気付いたら、いつの間にか目で追うようになってた。


話しかけられるたびにドキドキして、毎日学校で会うのが楽しみで。