「―――ん、」
目を開けると見覚えのある天井が見えた。
「……?」
頭が働いてない。
なぜわたしはここに、つまり自分の部屋のベッドにいるのだろうか。
起き上がってみると服まで変わっている。
いや、ここは感謝するべきか。
制服のままだとシワになるし。
一人で頷いていると部屋の扉が開いた。
「あ、六花起きたなっ」
「兄さん……」
わたしを見て兄さんはホッとしたような笑顔を浮かべる。
「えーと、おはよう?」
「おー。もう十時だけどな」
クク、と笑いながらこちらにきて、兄さんはベッドに腰かけた。
というかわたし、夕方にあのまま寝て十時まで爆睡って……
「夜ご飯、作れなくてごめんね」
「気にすんな。それより朝ご飯食うか?」
「食べ……朝ご飯?」
窓の方を見てみると、カーテンの隙間から光がこぼれていて。
「……もしかして、今って朝の十時?」
「おー。そうだけど」
なんと。聞いてびっくりだ。
わたし、軽く半日は寝てる。
これは寝すぎでしょ。
「というか学校……」
「休むって連絡入れておいたぞ」
「あ、そう」
相変わらずそういうところはしっかりしているというかなんというか。
聞いて見れば兄さん自身も仕事を休んだらしい。
それがわたしのせいかと思うと申し訳ない。
「いやー、兄妹水入らずなんて久しぶりだな。
あ、昼間は二人で買い物行こうな?
新しいメガネも必要だし。
六花とデートかぁ、楽しみだなぁ」
ご機嫌でわたしの前を歩く兄さん。
さっきわたしが思ったこと、取り消していいかな。