ふと目が覚めた。
目を開けると、知らない人間の女が私の顔をまじまじと見ている。
「っ!」
?「そんなに怯えんでもいいよ。」
優しい声だった。
「.....。」
喋ろうとした。
けど、声が出なかった。
?「喋れんの?」
---コクン。
?「そっか。」
?「その子目が覚めたんだ。」
どこからか男の子がやってきた。
?「左之助いいところに来た。この子の相手してやって。私はご飯作ってくるから。」
?「はーい。」
そう言って女の人は何処かに行ってしまった。
?「ねぇ。君名前は?」
「.....。」
喋れないから黙っていた。
?「喋れない?」
その言葉に頷いた。
?「そっか。あ、俺は左之助!原田左之助!よろしくな?」
返事の代わりに頷いた。
?「名前は?」
名前...。
言いたくなかった。
もしかしたら左之助も幕府の人間だと思うから。