夏1
... カタカタカタカタ...
クーラーの効いたパソコン室にタイピングの音でいっぱいになる。人それぞれのタイピングの音があってまるで合奏しているかのよう。なかでもたっちゃんの音は別格だ。タッチタイピングができるので画面しか見ていない。先輩方のような不規則なリズムではなく規則性のある気持ちのいい音なのだ。単純明快な作業だけれどやっぱりすごいと思う。
「岡崎、どうかした?打ちにくいんだけど... 」
「ご、ごめん。打つの速くて、その、見惚れてました。... はい、すみません」
気づかれてしまった... 。恥ずかしいという感情しかない。
「え、あ、あり、がと。えっと打ち方独学だけど、お、教えようか?」
(え、たっちゃんって女子嫌いなのに大丈夫なの?)
「え、い、いいの?」
「う、うん」
(そんなこといいながらたっちゃん、目が赤くなってるよ?本当は大丈夫じゃないんでしょ?)
「たっちゃん、無理してない?手が震えちゃってるよ?」
そっとほっぺたに手を伸ばしてしまった。
「すとーーぷっ!そこまで。私達がいるの忘れてたでしょ?ラブラブしないの?!リア充か!」
『ラブラブしてません!リア充でもないです!!』
「ほら意気投合してるじゃないの。」
思わず目をあわせて... そらしてしまった。
ほっぺたを真っ赤にしながら...