side アオイ





風が吹く。



冷たい風が。





「……アオイ様。」





十月。



甘栗悠の行方不明騒動から、早三週間が経った。





風も冷たくなって来ていた。





「……ヒルナの体調は?」



「……今は何ともないようだが、広場で休んでる。」



「そうか。」





ヒルナを蝕んでいく、俺の血液。



雛の命は、最初と比べ確実に短くなっている。





……そう思うと、クンは幸運だったのだと思う。



ヒルナはきっと、このままじゃ三年も生きられない。



二年、生きられるかも分からない。





最愛の目の前から、ヒルナが消えたとき。



最愛はどんな顔をするだろうか。