今日は朝から雨が降っていて。


お気に入りのスカートと、


買ったばかりのパンプスを履こうと


思ってたのに、履けなくなった。


天気予報では、夕方から晴れだと


言っていて、それじゃ遅いと


テレビに向かって文句を


言った覚えがある。


いつもは起きられないくせに、


修学旅行だとか遠足だとかの時は、


ぱっちり目が開くのと一緒で、


朝が弱いのに、今日は異様に


目覚めがよかった。


そのせいで見ることになった


朝のニュース番組で流れた、


今日のあたしの運勢は、


12位中12位だった。


だけどそんなことなんて


気にならないくらい、


気分は浮かれていた。


だって今日は、1日悠太郎と


いられる日だから。






「あたし先に着きそうだから、カフェで待ってるね」





『雨が降ってるから迎えに行くって言ったのに』





「うん、ごめんね。でも歩きたい気分だったから丁度いいの」





『俺もすぐ着くから、何か注文して待ってて』




「はーい。じゃあ待ってるね」





電話を鞄にしまい、再び肩を握りしめる。


パンプスは履けないから、


雨の時のお出かけ用にと買っておいた、


苺の絵柄のレインブーツを履いた。


お気に入りのスカートもしまい直し、


明るい色のワンピースに変えた。


これはこれでありか、なんて


納得しながら、待ち合わせ場所に向かう


足取りは軽やかで。


悠太郎と1日いられるのは、


いつぶりだろう。


なんて考えている間に、


カフェに到着。






「いらっしゃいませ。お1人様ですか?」




「待ち合わせなので、2人席でお願いします」





美味しそうなコーヒーの香りがして、


妙に大人になった気分になる。


パソコンを覗き込んで仕事をしている人や、


小説を片手にサンドイッチを食べている人。


みんなそれぞれに休みを満喫しているようで、


見ているだけで楽しい気分になった。





「ごめん、お待たせ」




「ううん、全然」





注文したアイスカフェラテが


運ばれてきたと同時に、


中に入って来た悠太郎。


この間も会ったばかりなのに、


久々に会った感じがして、


胸のあたりがこそばゆい気がした。






「お腹空いてない?」




「空いたね。何か頼む?」




「好きなの選んでいいよ。俺とりあえずコーヒーで」






かしこまりました、と店員さんが


カウンターの奥に戻って行く。


2人だけの空間のような気がして、


少し照れくさくなった。






「あたし、オムライスがいいな」




「ここの美味しいしね」





じゃあ、コーヒーが来たら、


注文しようか。


そう言う悠太郎に頷いて見せる。


外は更に雨の勢いが増していて、


だけどそんなこと気にならないくらい、


楽しくて仕方がなかった。






「お待たせしました」




「すいません。料理の注文、いいですか?」




「はい、お伺いいたします」





スムーズにやり取りしている


悠太郎と店員さん。


それを眺めながら、


カフェラテを飲むあたし。