闇に染まる、京の街。
その中を、私は全力で駆ける。
「はあ……はっ……」
「止まれ、小僧!」
私を追って、走ってくるのは、お尻にふさふさしたしっぽが生えている、男の人達。
彼らは、もののけだ。
人の皮を被った、狸や狐。
京から遠く離れた故郷の里から、彼らのような、もののけから目を付けられないように、男装をしてここまで来た。
だけど、関所をくぐった途端、彼らに目をつけられてしまった。
狭い路地を走り回り、1つの曲がり角を曲がった時、私の足は止まってしまった。
「っ行き止まり……!」
「やっと追い詰めたぞ、小僧」
振り返ると、そこには大勢の人の形をした、もののけがいた。
彼らは、肩で息をしている私を、じりじりと追い詰め、取り囲む。
「さあ……我々と共に来い……」
「嫌よ!誰があなた達と一緒に行くもんですか!」
そう叫んで、私は空を見上げた。
いくつもの星が輝く、きれいな夜空……