――――…ここは酷く暗い。


どのぐらい、ここにいたのだろうか。
体を抱き締めているのに。
どうしてだろう。

一向に温かくならない。
ずっと、手足が冷えている。


そして、枯れる事のない涙。



“あんたの所為だ!!”
“お前さえいなければ!!”



私が、いなければ?
いなければよかったの?
私がいなかったら、彼女達は産まれていなかった?


≪あやめ≫


「え?」


急に声が響いて、私は顔を上げる。
声がした方に顔を向けると、そこにいたのは。


―――――――不思議な色の目をした少年だった。



呆気に取られた私は、じっと彼を見つめる。
その彼はゆっくり、静かに私に近付き、目の前まで来るとしゃがみ込んだ。

そして、そっと私の涙を指で掬った。


≪俺は、お前を救いに来た≫

「……救い、に?」


戸惑いながら、そう声を発すると彼はニヤっと笑って指で掬った涙を舌でぺろっと舐めた。
それに、ドキっとする。

スッと彼は立ち上がると、言葉を続けた。