――――…ここは酷く暗い。



何も。

…何も考えたくない。


男が怖い。信じられない。
気持ち悪い。嘘付き。
醜い。汚い。


ガクガクと震える体をただ抱き締める。
そして、ただ涙を流し続ける。


この暗闇に体だけでなく、思考も何もかも全て。
飲み込まれてしまいそうだったけど、それでもよかった。
…出来ることなら、飲まれてしまいたかった。


飲み込まれてしまえば、何も考えられないんじゃないかって。
そう、思ったから。


≪ふざけないで!!!≫

突然、大きな声が響く。
それに体がびくっとした。

その、声のした方を見る。



そこにいたのは、私より一つか二つ上だろうか。
だけど、見た目はとても派手で、髪の毛は明るく染められている。
少し濃い目の化粧が、また彼女を映えさせていた。


≪忘れるなんて本当に都合いい!!≫