――――――――――………


扉の奥から、うるさいゲームの音がする。
時々聞こえるのはうめき声。

…この部屋だけ、妙に静まり返っていた。




「…お、前。
ナニモノ…?」


今、目の前で起こっている事が信じられない。
あれから、どれだけの時間が経っただろうか。


「くく、ナニモノって?
あんた、酷い言い様だね」


“そいつ”は笑いながら、そこに横たわっている俺の先輩の腹を踏みつける。
じりじりと、足を動かす度に先輩が苦しそうに呻く。

それからごぼっと、先輩は血と共に嘔吐した。
涙を流しながら、先輩は顔を真っ赤にして血管を浮き上がらせている。

…本当に死ぬかもしれない。


「ははは、あははははは!!!」

“そいつ”は返り血を浴びた顔のまま、高笑いをした。
心底、楽しそうに。

靴についた吐瀉物や血を、躊躇することなくそこら辺に転がっている男の洋服で拭いた。


そこは、正に地獄絵図だった。
惨劇だった。