――――…ここは酷く暗い。


≪カンナ≫


脳内に響き渡る声。


≪何≫

“彼女”は無愛想に返事をした。

≪アンナが怯えている≫

≪どうして?≫

“彼女”は“彼”に問い返す。

≪…カンナの声が怖いって≫

“彼”がそう発すると、“彼女”は黙った。
しばしの沈黙が訪れる。


ただし、それは酷く緊張感があり、空気を張りつめらせた。


それからゆっくりと“彼女”は言葉を発する。
普段よりもそれは相当低かったと思う。

だから、アンナが怯えるのか。
そう、“彼女”は心の中で自嘲した。


≪昴…、アンナについててあげて。
アンナ、あんたには懐いてるから≫

一瞬、静かになる。
だけど、“彼”は静かに

≪わかった≫

そう、発して“消えた”。



それに“彼女”は舌打ちを打つ。
アンナは“彼女”を怖がっていた。

それは自負していた。
だけど、昴に話していたのは想定していなかったのだ。