IHのボタンに手を置いて、じっと一点を見つめる

鍋に入れた牛乳が沸騰するほんの少し前にIHを止める

そのまま蒸らすこと数分

カップに移し替えて湯気の立つそれをそっと口に含む

「ん」

手元のミルクティを見つめて小さく首をかしげたのは、

「なんか違う」

からだ

作り方は同じのはずなのに

口に含んだそれは、いつも海斗が作ってくれるのと何かが違う

何か、もしっかりはわからないけれど

眉を寄せて湯気の立つミルクティとにらめっこしているしるふの背後でドアが開く

「あ、ねえ、海斗」

部屋に入って来たのは、出張準備を終えた海斗

しるふの声に漆黒の瞳を向けてくる

「ミルクティ作ったんだけど何かが違うの」

なんだと思う?

しるふから受け取ったミルクティを飲みつつ視線を送るのは、

しるふが先ほどまでたってたシンクだ

そして納得したように独り頷く