ケータイ小説 野いちご

シンデレラの一族

中1、夏
友情は非常


◇◇◇【7月28日】


むせかえるような暑さの中、ボストンバッグを持って外に出た。

まだ朝の10時前だというのに、やけに暑い。

朝特有の爽やかさがない。


「瑠〜璃ぃ〜」


「…はあ…」


玄関に涙目で立つお母さんにため息。

この頃ずっとこう。

一時期は乗り気で賛成したお母さんも、直に旅行=私と離れるという事実に気がついたらしい。

行かないで!とか、心配だーっとか。

わんわん言い始め、抵抗を繰り返した。


小池さんのお母さんとの電話も凄まじく、「ご迷惑おかけします」と「何かあったら連絡を」と「箱根ですよね?」を何回も繰り返していた。


どうやら、迎えに来るつもりらしい。


「何かあったら連絡してねっ!すぐ行くから、箱根でしょ!」

渡された旅館の地図をヒラヒラとかざすお母さん。

「……大丈夫だって」

「お母さんの電話に三回出なかったら行くからねっ」

「……」

もう、いい加減面倒なんだが。



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