ケータイ小説 野いちご

シンデレラの一族

中1、春
糸みたいな


◇◇◇【4月15日】


床を踏みしめ、履きなれない靴下の感触に戸惑う。

新品の香りの制服は私に馴染もうと、動くたびに揺れた。


「……」


鏡の前にたち、出で立ちを確認する。

紺のブレザーに、淡いピンクのチェックのスカート。
お揃いのピンクのネクタイ。


――私が通う中高一貫制の学校の制服である。


「…わ」

やば、私中学生やん。

この間までランドセルだったのが嘘のよう。

急に大人びた気がして、なんだかワクワクする。

未知の空間にドキドキしていた、その時だった。


「瑠璃ぃ〜」


リビングからお母さんの呼ぶ声が聞こえた。

あ、もうご飯の時間か。

くるりとドアの前に向かい、自室に別れを告げた。


リビングにつくと、お母さんが焼いた食パンを「あっつっ」と悲鳴混じりに並べていた。

「…大丈夫?」

「へーき。とにかく食べなよ!」

30代が10代に見えるほどの美女のお母さん。

本名、白龍舞雪。

健康的なショートカットの彩飾は、目映いほどの白。

角度によっては銀にも七色にも見えるそれは、私の母親なんだなあと再認識させられるものだ。


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