◇◇◇
「何分?」
胸の中に妹を抱き抱えながら、扉を睨む
「4分です」
扉からそっとでてきたおかっぱ頭の幼女が、伊織のベッドに置かれていた目覚まし時計を手に答えた。
「即効性とは効きましたが、かなり早いですね。あと5分はかかると思ったのですが」
「瑠璃は邪眼が強いからねー。たぶん薬が効きやすいんだろーよ」
愛しそうに胸の中の妹を見つめた。
それを無表情で見つめてた東だったが、ふと気づいたように傍らの妹に声をかけた。
「……西、瑠璃さまをお運びして」
「あ、いいよ。俺が運ぶ」
離したくないらしく、そのまま立ち上がる。
ふらつきながら階段を降りて、母屋の一室へ向かう。
美夜と隣の部屋ではなく、新たに布団を
敷いて用意をした部屋だ。
優しくそこへ瑠璃を寝かした。
「……ひとまず、下準備完了ですね」
「ああ」
東に視線を移すことなく、ただ妹だけを視界に入れつづける。
「……伊織さま」
「わかってるよ」
何が言いたいのか察していたらしい。
ケータイ小説 野いちご
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