二人はしばらくして泣き止むと、やっと千草の手を離した。


「ありがとうございます…」

永遠がそう千草に聞こえるように呟いた。

すると、千草はニコリと優しく微笑んでくれた。





「……一日…この牢屋の中で我慢してくれませんか…?まだ作戦があやふやなんで…」


永遠と真理和は、何回も縦に首を振った。


それを確認すると千草は立ち上がり、ポケットから出した包帯を傷口に巻き付けながら、言った。


「…また明日来ます…では、私はこれで…」



永遠と真理和は千草の背中を見送った。





姿が見えなくなり、重そうなドアが閉まった。





永遠は煉瓦でできた壁にもたれかかると、ただ静かに涙を流した。




天井からもれる太陽の光が、なんだか近く感じる。