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視界を覆っていた光が消え去る



そっと、目を開ければそこは城の中などではない。



うっすらと城の屋根が見えるこの場所は、この国の中でも荒れているだろう場所



ひと気のない家はボロく、今にも壊れそうだった



道は整備されていない。



まぁ、前世?の世界は何処もこんなもんだったけど





「……」


「……」




チラリ、と動きもしない、喋りもしないイーチェを見ると、イーチェは俯いていた




唇を噛み、グッと手を握り締めていた




何もできない。それが、こんなにも悔しいのは初めてかもしれない。



そこまで頻繁に会ってるわけでもない、親しいわけでもない、まだ知り合い程度の彼らに



こんなに感情を抱くなんて。




昔は、どうでもいいって言い放っていた気がする……





「……イーチェ、」





所詮、僕はまだ子どもの姿。魔力が不安定な今、魔法を使えば暴走するのは目に見えている




「今なら、まだ間に合うかもしれない」


「え、………ちょっ!?」




一歩踏み出した彼女の腰に慌ててしがみつく




ダメ!ダメダメダメダメー!!





「モルちゃん、お願い」


「ダメだよ、せっかくオルフェが逃がしてくれたのに」



「………だけど、みんなの命を犠牲にしてまで、私は」