「タマゴサンド?」

「へ!?あっ!」



どうやらわたしは口のはしにサンドイッチの具をつけていたらしい。シローせんぱいはふっと笑うと、ぬぐった親指をぺろ、となめた。



な……なめた!へんたい!!

顔をかぁーっと真っ赤にするわたしとは真逆に、隣で気にすることなく外を見ながらおにぎりを食べはじめる。


シローせんぱいはすぐ触れるから、ときどき心臓に悪い……。

どきどきとする心をおちつけ、なにげなしにその視線を追いかける。



……あ。

するとその先にあったのは、このベランダの真下にある中庭で、こちらに背中を向ける形でベンチに座る女の子たちの姿。



わたしの足元の黄色いラインの上履きとはちがう、赤い色のラインの上履き。それはシローせんぱいと同じ、つまり3年生の証。



シローせんぱいの茶色い瞳は、そのなかのひとりであるストレートな茶色いロングヘアの後ろ姿をみつめている。

シローせんぱいがじっと見つめる、細くて背の高い女の子。

となりでシローせんぱいとその女の子を交互にみる、わたしの視線になんて気付かないくらい。