チュンチュン…

ん、朝か……。
時計を見ると、もう6:15だった。
朝練に行かないと。

……。
まだ眠い…。あと、5分だけ…。
そんな時、ある1人の顔が脳内を遮る。


愛だった。


そう言えば告白したんだっけ?俺。
……って、んん!告白した!?
そうだ、勢い余って告白してしまったんだ。

今、一気に目が覚めた。
そして大声で叫びたいのを我慢して、枕に抱きついた。
そんでもってゴロゴロする。
俺は恋する乙女かよ……。

自分で自分に引いた。

「康介ー!起きろー!」

お袋の声。耳が痛い。
あんだけ長い残業やってて、よく早起きなんかできるよな。

まあ、眠気もないので起きてみる。
眠気あっても起きるけど。

「おっはよーぅ!」

威勢のいい姉ちゃんの声が本当、親子だな、お前ら。
父さん似で良かった。
遠征してるけど。

「…はよ」

朝は声が出にくい。
見ず知らずの間に口呼吸しているせいだろう。
喉が乾いてるんだ。

「朝、フレンチトースト食べる?」

今日の朝ごはんはフレンチトーストか。

「…ん…あとコーヒー」

「あ、私はミルクティーで!」

便乗する姉を無視してTVを見る。
もうすぐ6:45になる。
朝練は7:30からだから少なくとも7:00には家を出ないと。

「はい、どーぞ」

少しだけ焦げ目の付いたフレンチトーストと、いつものブラックコーヒー。美味そうだ。
朝といえばコーヒーだろ。うんうん。

「いただきます」

パクパク食べてざっと10分ぐらいでたいらげる。

7:50
あとは身支度をして家を出るだけ。
顔を洗って、髪をといて、制服を着る。
よし、完璧(なはず)。

「いってきます」

「いってらっしゃい」

「いってらー」

のんきだよな。

いつも思う。

でも、こんなに喜ばしい事はないんだろうな。

どいつもこいつも。

いつまでこんな生活が続けられるかもわからないのに。

いつバレるかもわからないのに。

俺がイジメを受けているとは知りもしないで。

あぁ、俺は幸せ者だよ。

ありがとう。