◇◇◇


一週間。



これは、瑠璃の熱が完全に引くまでにかかった時間である。



あれから、瑠璃はあまり高すぎない熱をずうっと出し続け、一週間床に臥せった。


昨日、ようやく床上げをし、この事件は幕をおろしたのである。



まあ変わったことといえば――。



「日向くん、時間じゃない?」

「ああ、そうですね」


三好さんが背後に立っている。

最近、三好さんは俺の定時にうるさくなった。

滅多なことでは残業させない。

三好さん曰く、「可愛い奥さまが待ってるんだから、早く帰らないと」だかららしい。

社内では独身と思われていたから、無駄に騒ぎになった。


まあ、一週間も経てば噂の尾は薄れたに等しいだろう。


「…三好さん偉いわあ、影であんなに泣いてたのに」「うっさい!あんな可愛い子連れてこられたら戦意喪失よ!」「むしろ応援にまわるっていうのが偉い」「じ、上司ですから?」


「……?」

視線を感じ、後ろを振り替える。

部下と喋っていた三好さんに、居心地悪そうに手を降られた。