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仮眠室を使う履歴ノートを書き終えた俺は、うっすらと目を開けた瑠璃の頭を撫でる。

髪の毛すらも熱に染まっていた。


「…瑠璃」


名前を呼ぶと、じわりと瞳に涙が滲む。

濃い青の瞳が赤くなるのは、どんなに有名な絶景よりも幻想的だ。


胸を締め付けられるから、余計にそう思った。


「なんで逃げたの?」

「…ごめんなさい…」

「怒るのは瑠璃が大事だからだよ?」


自分の思い通りにならないからとかじゃない

瑠璃の体が心配なだけ。


「ここ、会社の仮眠室だから。滅多にだれもこないから。言いたいことあるならいいな」


く、と唾を飲む瑠璃。

覚悟を決めてるつもりらしい


俺を潤んだ瞳で見上げながら、そうっと口を開いた。




「…別れてほしい…の」