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「………ん…?」


瞼を上げると、そこは何十年ぶりかの青空が広がっていた。


…あたし、どうして目が見えてるの……?


目が覚めると、私ーあたしは高校生の姿に戻っていた。
着ている服は白いワンピースのようなもので、靴は履いていない。


「ここが、天国?」


青空にどこまでも広がる高原。
まっさらでなにもない世界。


なにもない世界には慣れていたはずなのに、見える事が急に怖くなった。


「……誰も、いないの?」


声をかけても、誰からの返事も無いし人影も無い。


「ここ、どこなの………?」


よくわからないまま歩き出す。
あたしはあそこで一生を終えたはずだった。


なのにどうして………………
あたしはここにいるんだろう……?



しばらく歩くと、色とりどりの花が咲き誇る、花畑が表れた。



「なにこれ、見たこと無い花………」



ひょっとして、天国だけに咲く花?
素敵…………


心地よい風が吹いている。
あたしはそこに横になり、瞳を閉じた。


「こんなに穏やかな気持ちはいつぶりだろう……」


色溢れる世界は、こんなにも温かいものだったんだ………


「陽………」


ここが天国なら、陽もいるのかな?
会いたい…会いたいよ、陽……………



「会いたかった、やっと……会えたな…」


………えっ………?


声が聞こえた。
あの日々と変わらない、懐かしく、優しい、愛しい人の声。


あたしは絶望するのが怖くて、目を開けられない。
もし、夢たったら?


何度、夢に見ては絶望しただろう。
だから、目を開けたら、また現実に裏切られそうで怖い。