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今年も春が来た。
桜が風に乗り、桃色の雪を降らす。


あたしはそれを、図書室の窓から眺めた。


ーガラガラガラ…


「綺麗………」


あたしは桜を眺めて思う。
あたしの人生の終わりも、始まりも桜が咲いてたな…と。



あたしが生まれたのは4月、桜が満開の始まりの季節だった。
そして今日、また新しい季節が始まろうとしてる。


入学式、あたしは後輩になるであろう生徒を窓から見下ろした。


あたしが入学したのは一年前、昔…前世で通っていたこの学校にもう一度入学した。


そう、あたしには前世の記憶がある。
漣 幸としての記憶が………


今は北瀬 春(キタセ ハル)という名前に変わり、目も見える健康な体に生まれた。


優しい家族と、友達に恵まれて、幸せなはずなのに…


「それなのに…あなただけがいない……」



どこにいるの?陽………
入学式、あたしは陽がいるんじゃないかって期待した。
でも、その姿を見つける事も、あたしには出来ない。



もう、出会ってるかもしれない、でも出会ってないかもしれない。


陽がもし、記憶を失っていたとしたら、あたしはどうやって陽を探したらいいんだろう…




時を重ねるにつれて、不安ばかりが募る。


「陽、会いたいよ………」


あたし、陽を見つけ出すって決めたのに…
すぐ弱気になってる。


陽は、あたしのこと天国で70年も待ってくれたのに……




まだ、17年…………
陽に比べたら、こんなんで、根をあげてなんていられない。