―柚希Story*


うち、妃鞠だけには知られたくないことがあるの。

それは妃鞠にとって、心配かけちゃうことだから。



「…ったく。俺に反抗すんなって、あれほど言っただろ?

なのに何で逃げるンだよ…?」



秀はうちの大好きな人。

今でも変わらないくらい、好き。



―でも…暴力を振るうなんて。怖いよ。

どうして?

そんな人じゃなかったよね…?




「今日は学校ねェだろ?家にずっといとけよ!

逃げたら…容赦ねぇから」



パタン…と閉じられた扉を、ただ遠目に眺めていた。