将軍直属の隠密役を勤める大目付。

 今から5年ほど前、私はそこに配属された。

 仕事は情報収集に暗殺など。ほとんどが潜入をして十分な情報を得てから関係者全員を抹殺する。

「雪(ゆき)、家茂(いえもち)様がお呼びだ」

 名前からもわかるように私は正真正銘の女だ。だが着物なんていうあんな邪魔で暑苦しいものは着ていない。すぐに動けるように今は男装をしている。

「わかりました」

 今度はどんな命令だろうか。

「神田(かんだ)です」

 ある部屋の前でそう名乗った。

「入れ」

「失礼いたします」

 一礼し、中に入った。

 長期のものだけはやめていただきたいな。

 そう願いながら、私は中に入った。