広間に行くと、局長と副長、さっきの3人組以外の奴が3人いた。

「神田、自己紹介しろ」

「本日から入隊しました。一番組副長、神田龍です。よろしくお願いします」

 そう言い、ぺこりと頭を下げた。

「てめえらも自己紹介しろ」

「俺らはさっき済ませたぜ」

 永倉がそう言った。

「じゃあ斎藤(さいとう)、お前から言ってけ」

「三番組組長、斎藤一」

 黒色の髪を横の低い位置で一つに結んだ青い細い瞳を持つ無口な男性がそう言った。

「私は六番組組長、井上源三郎(いのうえげんざぶろう)。よろしくね」

 黒色の短髪に茶色の円らな瞳を持つ優しそうな男性がそう言った。

「私はここの総長をしている山南敬助(さんなんけいすけ)です」

 黒色の短髪に茶色の瞳、メガネをかけている男性がそう言った。

 山南……ああ、あの薬を作ってる奴だな。幕府のものに少しずつ手を加えてるんだっけ。研究者としての能力値は高いらしいけど。

「で、一応言っておくが、こいつは女だ」

「…………はーっ!?」

 ……耳が痛い。

 ……最初から気づいていた奴がいるな。しかも2人もだ。なぜ気づかれた? そう簡単には見破れないはず。

「龍君? 大丈夫かい?」

 はっ!

「あっ、はい。大丈夫です」

 今こいつ、龍君って言ったか!?

 ギロッと沖田の野郎を睨んでやったが、軽く無視された。

 ……ちっ。

「隊士たちにはばれるなよ」

「はい」

 ばれるようなことはしない。幹部の2人に見破られたんだ。その前に隣の奴に一度後ろをとられてるし、もう油断はしない。

「そういえば、本当の名前はなんって言うんだ?」

 えっ?

「そういえば聞いてなかったな」

「それは……」

「雪ちゃんだよ」

 なっ……。

 隣にいる奴が何事もなかったかのようにすんなりと答えた。

 なんで、なんで知ってやがんだ。教えてないぞ。

「ほおー、雪な。で、寝るところはどうすんだよ。今は部屋に空きがないんだよな?」

 原田がそう土方に聞いた。

「総司の部屋だ」

「はあーっ!?」

 ……うるさい。

「総司と部屋まで一緒とか危険だろうが! なんなら俺の部屋に……」

「左之さんのほうがよっぽど危ないだろ! ここは俺の部屋に……」

「平助は寝相が悪いからだめだろ」

 別にどこだって一緒だろうが。

「だーめ。雪ちゃんは僕の部屋で寝るの。朝から晩まで、ずーっと一緒なんだから」

 はっ? 誰がお前となんかずっと一緒にいるか。こっちは仕事があるんだよ。大体なんだ雪ちゃんって。ちゃんってなんだちゃんって。

「……沖田さん、離してもらえませんか? 近いんですけど」

 沖田に急に抱き寄せられ、距離はすごく近い。

「嫌だ」

 なっ……。

「総司、てめえ……」

 ん? なんかあの3人組、殺気立ってますけど。私も出していいかな?

「離してください」

 ほんの少しだけ殺気を出した。

「……はい」

 腕が離されたので、すぐに沖田と距離をとった。

「おいてめえら、もう話は終わりだ。とっとと戻れ」

「はーい」

 次々と幹部たちが出ていった。