「あぁ~、つまんな~い~

今度こそ、翔ちゃんとデートしようと思ったのに~」


この女は、いつまで言ってるんだ…

もう2時間は、ずっと同じことを言ってるぞ…


「弥生さん、もう少し静かにしてないと…

水無月さんが、うるさいです…!って怒りだすよ…」


暁くんが、七瀬を苦笑いしながら声を掛けている。


「だってぇ…翔ちゃんのためにぃ…

綺麗なドレスを買って、それを着て、なかなか予約がとれないレストランに予約までいれたのにぃ…

翔ちゃん…また、
どっか行っちゃったんだもんー!

ちょっとくらい、慰めてよー!」


七瀬は、そう言って暁くんに泣きながら抱きついた。


うわぁ…可哀想…


あっ、この可哀想は、暁くんにだぞ?

七瀬の涙で、暁くんの服がべとべとだから。