「ん…」


眠い目を擦り、辺りを見回すと隣で巳波は腕を組み床に座ってスヤスヤと眠っていた。


一方であたしは布団の中。


…巳波の頰にある擦り傷を見て、昨日あったことは夢じゃなかったんだと実感する。


巳波が助けに来てくれて良かった。


嬉しかった。


あたしは巳波の寝顔を見ながら「ありがとう」と呟く。


何故だか面と向かってお礼を言うのが恥ずかしかったから、ズルいけど寝てる間で許して。


あんなことが昨日あったけど、今日も変わらず学校がある。


あたしは怠い体を起こして、立ち上がった。


…が。


「…へ」


クラクラと立ち上がった瞬間目眩がして倒れそうになる。


あれ?


何だか体がいつもより重く感じるんだけど…。


視界も霞んで、立ってることが精一杯で足が動かない。


「ん…柚?」


「あ、おはよ巳波…」


起きた巳波を見て朝の挨拶を交わした所で、あたしは立ってることに限界がきたのかフラリと後ろへ体重がかかる。


「…柚っ」


巳波の声が聞こえた時に衝撃に備えて目を瞑ったが、いつまで経っても背中にくるはずの衝撃がない。