「はぁ…疲れた〜」


駅前の近くの喫茶店のバイト帰り、いつもの様に、自分へのご褒美にコンビニでデザートを買う。


「どれにしようかな〜」


棚に並べられた、美味しそうなデザート達。


モンブランもいいけど、ティラミスも捨てがたい。


あの口の中に入れた瞬間に広がる甘さを想像するだけで、よだれがこぼれてしまいそう。


嗚呼、モンブランとティラミスがあたしに食べて欲しがっている声が聞こえてくる。


__このモンブランの美味しさこそ貴方 が求めていた味でしょう?


__いいえ、違うわ!ティラミスこそが 貴方に相応しいわ!!


おいおい、争わないで下さいな。


どっちも買ってあげるよ、そして君達の味を存分に堪能してみせるから!


カゴにモンブランとティラミスを一つずつ入れて、お会計を済ませる。


あ〜明日は学校か…行きたくないなぁ。


また女豹に何か言われるかな?


愛用のママチャリを漕ぎながら学校の事を考えて溜息を吐く。


…外はもう暗い。


夜の11時だからか余り人は通らないし、狭い道のため、車も通らない。


あるのは、転々と置かれた街灯のみ。


慣れしまったからか、別に怖くはない。


不気味だとは思うけど、何かあったとか噂も聞かないくらい平和。


鼻歌交じりにあたしが住んでいるマンションの駐輪場にママチャリを置いてマンション内へあたしは入ろうとした。


…そう“した”んだ。


「は?」


マンション内へ入ろうとした途中に見つけた、赤いパーカーを着た男。


その男は電柱に凭れて倒れていた。


1度見てしまったのはどうしようもないことで、取り敢えず声をかけてみる。