「葉月!起きなさい。いつまで寝てるんだよ」

「んんっ?」

「まったくこの子ったらもう」


目をこすり、布団から起き上がる。

そうだった。今日は大切なお客様が来るってお母さん言ってたっけ。すっかり頭から抜けていた私は呉服屋を営んでいます。
桜芽葉月。もうすぐで18歳。
兄弟は生き別れた兄のみ。

私が寝坊してしまうなんて。昨日久々に徹夜して塗っていたからかな。
そう思っているとお母さんが慌てた声で誰かを引き止めている。

「困ります!いくら常連様でも勝手に入られては」


「どうしたの...!?」

顔を覗かせていると、見知らぬ男が勝手に上がり込んでいた。
男はこちらに気づいたのだろう。私と目があった。