あれは私が小学5年生の頃―――。




仲が良かった友達と離れ、私は1人で机に向かい本を読んでいた。




「なぁ高岡」

「ん?何?」



顔を上げた瞬間。




バシャ――――ッ




顔に思い切り、バケツに入った水が流れてきた。

今まで騒いでいた教室が静かになる。




バケツを持っているのは、クラスの男子。

確か名字は―――シロガネ。

5年になって初めて同じクラスになった。

明るくて常に笑顔を絶やさなくて。

クラスの人気者。

女子からの評判も高かった。




「シロガネ!ナイス!!」



クラスのガキ大将・オノが友達と笑う。

シロガネは無表情で私を眺めた。

常に笑顔を絶やさないはずの、シロガネが。